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Le Zinc(東京 神泉)
鬱陶しいほどの雑踏を掻き分けて道玄坂を登りきり、細い路地を井の頭線神泉の駅に向かってなだらかに下る道すがらは、私が東京で最も好きな風景のひとつです。日本を代表する繁華街を背後に控えながら、忘れられたようないなたい空気が充満するこの界隈は、その、忘れた何かをふと思い出させるような雰囲気に満ちています。
もちろん、それだけでこの界隈が好きなわけではありません。ここには珠玉の名Bar「Le Zinc」があるからなのです。
かつて松涛の入り口にあった「Y Bar」(これもいいBarでした)のカウンターにいらした樋口さんが、満を持してオープンさせたBar。路面に面していながら人目を避けるような目立たない扉。夜になればホンの小さく赤い光がともります。
扉を開けるといきなりドラマチック。長く細い廊下がこれから始まる至福の時を、嫌がおうにも予感させてくれます。何でもご自身でBarを開くに当たり、どうしてもこの長い廊下が欲しかったそう。まず物件ありきで場所は二の次だったそうなのですが、偶然「Y Bar」の近くで見つけることが出来たのだとか。欲しいからといってなかなか見つかる物件ではないと思うのですがね(笑)。
全体的に白でまとめられた内装の中で、一際存在感を主張する重厚なバックバー。やたらに本数を主張するのではなく、それでも思わず「!」となるボトルが整然と並べられているところにこのBarの実力が伺えます。能ある鷹は爪・・・じゃないですけども。いたずらに数を恃むだけが偉いわけじゃないのです。
カクテルは凛としてノーブル。ここでカクテルを飲むといつも、「カクテルは顔で作るのかなぁ・・・」なんて思ってしまったり。樋口さんは銀座の名店「ロオジエ」で上田和男さんに師事していたのですが、もはやそんな枕詞は必要ないほど完成された空間に、時間を忘れて酔ってしまいます。
私が大阪へ戻らなければならなくなったとき、一番残念に思ったのがこのBarに通えなくなってしまうことでした。次訪ねるときは、神泉に向かう下り坂をスキップしてしまいそう。それほど再訪が待ち遠しいBarなのです。
Author 酒もん屋
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何故か本名で書いてますw
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